朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「雪音ちゃん、今度、私の友達も一緒に映画行かない?」
アニメの。
雪音ちゃん、意外とアニメ好きだ。
私も好きだけど、雪音ちゃんほどではない。
「いいですよ~。いつですか?」
「待って、訊いてみる」
私は携帯の、キーを押す。
哲は、今頃、真ちゃんと遊びに行っているはず。
…乳首ピアスの、変態真ちゃんと。
音が割れてイヤだから、という理由で、呼び出し音は、電子音。
ワンコール、ツーコール。
「あ、哲?」
哲は、いつも出るのが早い。
機嫌も悪くはないような感じで、どうしたの、と聞こえる声が、耳に心地良い。
「映画、行きたい。雪音ちゃんと一緒に」
『……行けばいいんじゃね?』
……あれ?
私、言い方間違えた?
聞こえた苦笑を含んだ返答に、私は首を傾げる。
「…哲も、だよ?」
ああ、と呆れたように息を吐かれて。
平日の夜なら大抵空いてるだろ、と。
熟知していたはずのスケジュールを、述べられた。