朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「…もう少し……強引でもいいような気が…」
「…………」
ふと呟いてしまってから。
自分の身に関わることなのに、妙に客観的に見てしまった事を、激しく後悔した。
全神経が、すぐ背後で口をつぐんだ哲に集中したように、張り詰めた。
「…ひぁ…っ…」
不意に赤い髪が、頬を掠め、金属の硬さが、耳に触れた。
包帯の手と、元気な手。
後ろから伸びた両方の手が、私の両手を掴んで、押さえ込むように後ろ手に。
哲の膝に挟まれる。
痛くはない。
痛くは、ないけど…まるで動けないその体勢に。
「そっ…そうじゃない!そんな強引さじゃなくて………!!」
キャンディの瓶が、転がり落ちたけれど、哲はそのまま黙って後ろから。
私の服を、たくしあげた。