朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「…………蜜」
ごめん、と照れたように、微かに笑った哲を。
今度はちゃんと、見つめた。
見つめたけれど、ゆっくりと奥に進む哲の、目に。
ひどく恥ずかしくなって、目を逸らした。
何を見るでもなく、声を押し殺す私は、今触れた何かが気になって仕方が無かったのだけれど。
私の顔にかかる髪をよけた哲の、急に強く動き出した律動に、何ひとつ。
ほんとうに何ひとつ、解らなくなった。
誰の時とも違う、強い刺激は、 赤い髪と、紫の蝶。
堪えきれずに上がる声が、どこか遠くから聞こえるような。
どうしたらいいのかも解らずに、なすがままに。
処女じゃあるまいし、と。
どこかでちらりと掠めるけれど。
いっぱいの哲の体温と。
突き抜ける音のような、頭の先から、体中の隅々にまで走り抜ける鋭利な、甘い、刺激。
制御できない快感に。
制御できない涙が、零れた。