朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


「蜜?…疲れた?」

「…ん~」


あれ?

起きろ、って…言わないの?

ヒヨドリの声がして、哲の声が聞こえた時は…大抵、起きろ!って揺さぶられるのに。



「哲……さっきの、もう一回して」

おでこに、ちゅってやつ。



「………いいけど…」

蜜、まだ寝てんじゃん、と苦笑する声に、だんだん意識が遠退いた。


なかなかしてくれない額へのキスに、今度は少しずつ、覚醒していく。



「………あれ?」


赤い髪が顔を掠め、肩に吐息がかかってようやく。

違和感に気が付いた。



「……う」

服が、ない。
いきなり服がないとはどういう事だ…。



「てっ…ててて哲!」


待って待って!
布団めくらないでぇ!!!



「えぇ?」

「服着てから!服着てからでいい!」


あわあわと身じろいだ私は、哲も裸である、と認識して、固まった。



< 332 / 354 >

この作品をシェア

pagetop