朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「…………見る?」
「見る」
哲は、わずかに視線を泳がせて、布団を、少しめくった。
冬の朝の空気は冷たくて、せっかく暖かい布団の中が、一気に冷える。
薄暗い布団の中をのぞき込んで、あまりの破廉恥な様子に。
私はあっさりと。
挫けた。
「………」
「…見えた?」
「み…見えなかった」
「なんだよ」
…見えなかったけど。
けど。
ちょっと………見ちゃった。
銀色の、ピアスが……二個。
あんなところに…ピアスするなんて…。
どうしよう、真ちゃんにも劣らない変態だ……。
「…痛くないの?」
「なんだ、見えたんじゃん」
「………みッ…見てない!」
窓の外では、ヒヨドリが。
少し強めの北風の音と共に、ベランダの手すりを移動する。
カチカチ、と。
ぎゃあぎゃあと。
私の好きになった哲の。
二年間全く気付かなかったピアスは。
とんでもなく痛そうな箇所を、……貫通していた。