朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~



「ちょ……哲…!鍵開いてる!!ああっ…エアコン!」



今更、と言われつつも、布団の中で服を着た。

誰がなんと言おうと、恥ずかしいものは恥ずかしい。



「ああっ…やっぱりついてるーッ!!部屋あったかいもん!!」


いい加減やかましいヒヨドリにリンゴを出そうと、自分の部屋に戻れば。

開いたままの鍵に、嫌な予感は、した。

ドアを開けて、中の空気が暖かかった事に、予感はますます嫌な方向に向かった。



テレビは自動で、録画画面から、日曜日のバラエティー番組に切り替わっているのか、誰も居ない部屋で聞こえる小さな笑い声が、気持ち悪い。



「…だって蜜、急にいなくなるから」

「だって!? だって!?……ああっ…お茶が可笑しな事に!ちょっと哲……味見してみない?」



確か、真ちゃんの来る前に淹れていたのは、カモミールとミントのお茶。

冷え切った、もはやお茶と言うよりも、抽出液といった感じになってしまったものの、匂いを嗅いだ。



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