朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
室内に置いたままの私の携帯が、着信を告げた。
哲は私の手を握ったまま、引っ張るように部屋に戻ると、何も無かったかのように、私のキッチンに向かった。
私は携帯を開いて。
『団長(タラシ髭)』
の表示に、一気に青ざめた。
「てててて哲っ……どうしよう団長から電話!」
昨日、無断欠席した!!!
わざわざ来てくれたのに!
待ってるって言ってくれたのに!
「……蜜…」
馬鹿だ、とケトルに水を入れながら苦笑した哲が、早く出て謝れ、と。
コンロに火をつけた。
倉橋蜜!
と、のっけからフルネームで呼ばれた私は、直立したまま、おろおろと謝り倒した。
「ごめんなさいっ…団長ぉ…行くはずだったんです…っ!行かれなくなって、電話するはずだったんですぅぅ…!!」
電話の向こうの団長は、深く深くため息をついてから。
今、高崎と一緒にいますから、出て来れますか? と。
トランペットを持って来なさいね、と。
優しく、そう言った。