朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
低音域から、高音域。
音の、準備体操。
私のトランペットも、遼のトロンボーンも、なかなか合わなかった。
ぞろぞろと、金管八重奏のメンバーが集まって。
ああ!良かった、蜜来てる!
と、笑ってくれたメンバーに、私は真面目に謝った。
今日は日曜日。
本当なら練習は、ない。
団長だって、家族と一緒に過ごせる日であるのに。
「ごめんなさい、心配かけて」
みんな、何も訊かないで居てくれる。
何もなかったかのように笑って、順に音出しを。
自然と合い始める、曲としての音の重なりは、どうしてこれを辞めようと思ったのか、不思議なくらいに心地良くて。
私は久しぶりに、腕と一体化したような私の楽器を、吹き上げた。
時間にしたら、ほんの6分程度の、曲。
だけどその6分は、私と遼の繋がりの、壊れた部分を目立たなく、した。