朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


小うるさいよ哲…。
私が何を食べようと勝手でしょ?

そんな悪態を心の中でだけ吐いても、私は哲の赤い髪に息をつく。

哲の唇のピアスに、ほっとする。



「…哲、一緒に食べよ」

「じゃあコーヒー持って行く」

「私の部屋、寒いから哲んとこがいい」

「…もう遅いから駄目」



携帯の時計を見れば、10時を回ったところ。

駄目、と即答されて唇を尖らせるけれど、これもまた哲との。

した覚えのない、約束。




「ケーキ食べるだけだよ?11時過ぎないよ」

「……………」



無視ですか。
また無視ですか。

11時過ぎたら、哲の部屋には行かない。居ない。すぐ帰れ。



「コーヒー、持って行くから」

「…了解です」



なんで駄目なんだ。

11時過ぎたら自動でAVでもかかる仕組みになってるのか?



絶対に寒いだろう自分の部屋の鍵をつまみ、私は若干ふてくされながら、鍵穴に突っ込んだ。




< 44 / 354 >

この作品をシェア

pagetop