朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
小うるさいよ哲…。
私が何を食べようと勝手でしょ?
そんな悪態を心の中でだけ吐いても、私は哲の赤い髪に息をつく。
哲の唇のピアスに、ほっとする。
「…哲、一緒に食べよ」
「じゃあコーヒー持って行く」
「私の部屋、寒いから哲んとこがいい」
「…もう遅いから駄目」
携帯の時計を見れば、10時を回ったところ。
駄目、と即答されて唇を尖らせるけれど、これもまた哲との。
した覚えのない、約束。
「ケーキ食べるだけだよ?11時過ぎないよ」
「……………」
無視ですか。
また無視ですか。
11時過ぎたら、哲の部屋には行かない。居ない。すぐ帰れ。
「コーヒー、持って行くから」
「…了解です」
なんで駄目なんだ。
11時過ぎたら自動でAVでもかかる仕組みになってるのか?
絶対に寒いだろう自分の部屋の鍵をつまみ、私は若干ふてくされながら、鍵穴に突っ込んだ。