朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
『馬鹿蜜』に一気に目が覚めて、それでも這いずり落ちるようにベッドから出れば。
…足元の方の窓が、少し開いていた。
…寒いわけだ。
隣の哲の部屋のドアが、開いて閉まる音がした。
マズい。
窓を閉めなければ!
私は寝起きが悪い。
目は覚めたつもりでも、体は醒めない。
足が、もつれた。
ウサギのショートパンツから伸びた素足は、吹き込む冬の朝の風に、鳥肌を立てている。
ああ!間に合わない!
部屋の鍵が開いた!
「なんだ、起きてんじゃん…って…何して………」
私は床にうつ伏せで、窓を閉めようと手を伸ばしたまま、硬直した。
…間に合わなかった。
マズい、間に合わなかったよ!
「……………窓…」
マズいマズい、怒ってる!
「まさか、一晩中開いてた、とか言わないな?」
哲を見ないまま、小刻みに首を振る私を、哲が信じたなんて、…微塵も…思っていない。
ああ…ヒヨドリが鳴いてるなぁ…。