朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


「リンゴ、買いたいんだったよね」


遼の運転する車の助手席で、その横顔を見つめた。

正面から見ても綺麗だけど、横顔は、やっぱり綺麗だ。

いつも楽団の練習帰りに送ってもらうだけだから解らなかったけれど、昼間の光も、よく似合う。


「うん、リンゴ。野菜もあるといいなあ」


遼は、と続ける。

「何か買うものある?」



赤信号で静かに車を停めた遼が、眩しそうに目を眇める。


「ん~?別にないんだよね。だからアップルパイ、俺にワンホール作ってくれるといいなあ」


せっかくの眼鏡を外し、そう話しながら、私の前のダッシュボードに手を伸ばした遼との距離に、不覚にも、ときめいた。


……ヤバい、萌えポイント有りすぎだろう…。


眼鏡はもちろん、黒い髪がサラリと流れるのも、綺麗な白い肌も、ダッシュボードの中からつまみ上げたサングラスを、掛けて笑う端麗な、顔も。

ふわりと香る、遼の、匂いも。


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