朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


寒い。

エアコンの暖房スイッチを入れるよりも、シャワーを浴びた方が早く温まる。



『遅くなってごめんなさい。お風呂入って寝る』


お前は私の彼氏か!親か!と騒ぐよりも、謝っちゃうのが、いい。

現に、こんな時間に私に文句を言う為だけに起きていた…起きていてくれた、のだろうから。



携帯をベッドに放り投げて、ひとつひとつ、レザーのアクセサリーを外す。

シルバーは入浴可能だけれども、レザーはダメだ。



耳から。
首から。

手首から。



…あれ?
ピアスがひとつ、ない。

外れてしまったのだろうか。

外れて、あの黒い部屋のどこかに無くしてきてしまったのだろうか。
あのギタリストが、外しただろうか?



………酔っ払いだと思って、いいようにしやがって。


私は1時には帰りたいと。

それだけは、はっきり言ったのに。



ふと吐き気に似た感情がこみ上げて、私は。

逃げるようにバスルームに飛び込んだ。



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