朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「…寒いから今じゃなくていいよ」
「哲の前で見せたら怒られるじゃねーのョ」
階段の途中で止まり、開襟のシャツのボタンを外す真ちゃんは、ちょっと持ってて、と私にギターケースを持たせた。
レスポールの革ケース。
結構、重い。
「ほら」
あっさりと外気に晒された、真ちゃんの………乳首。
「………………」
真横に、リングが貫通していて。
「…………」
…艶消しの、プラチナ?
綺麗…だけど……これ…
「そのまま引っ張ったら犯す」
「…ひっ」
恐る恐る、指先に引っ掛けた私の頭上で、さらりと言われた内容よりも、“引っ張ったら”乳首がどうなるのかの方が怖くて。
「…いやあぁぁっ!!」
私はそのまま、階段を駆け上がり、まっすぐ哲の部屋に。
飛び込んだ。
真ちゃんのギターを、抱えたまま。