朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「いやああああっ!哲!哲!痛い痛い痛い!」
「うわ、なに、どこ痛いの」
「ちーくーびぃぃ!」
「はあっ!?」
飛び上がるようにベッドに起き上がった哲が、飛び込んで来た私に押し倒されるように、再び仰向けに倒れる。
真ちゃんのレスポールは、多分、床に落ちたと思う。
「蜜!お前は痛くない!痛くないから離れろ!」
「痛いよ痛い!絶対痛……」
…く、ない…か?
…そうか、……そうだよね。
私は痛くないや。
でも哲、貫通してるんだよ?引っ張ったらきっとプチって……
……いやああああっ!!
やっぱ痛い痛い!
「うわあ…蜜…俺のレスポール投げ捨て……」
後から半ば慌てて入って来た真ちゃんが、悲しげにギターケースを拾い上げ、哲の上に乗ったままな私の首根を掴みあげた。
「哲が悶死するからね~」
「しねーし」
抱き留めた形のまま、私ごと起き上がった哲が、襟首を掴む真ちゃんの手を払いのけた。