朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
ぺったんこだけど…何着よう。
遼が玄関先にまで運んでくれたリンゴの箱は、哲が再び持ち上げた。
「蜜、相当重いぞコレ」
普段から鉄の塊を加工している哲が、笑う。
こんなの持って階段上がるの、俺嫌だわ、と。
「え、やっぱり?」
「持ってみ?」
私の部屋の、シンクの前まで運んでくれた箱を、受け取ろうと腕を伸ばした。
「おおおぉ………っ?」
「な?」
うん、重い!
めっさ重いよコレ!
遼~…あんな細いのに…
ツラかったでしょう…ごめんね?
トロンボーンしか持ったこと無いみたいな腕してるのに…。
抱えた腕に、箱の角が食い込むのが、痛い。
ふっ、と哲の腕に引き取られた箱は、さほど重そうには見えないのに。
私は、痣になってしまうんじゃないかと、遼の腕を心配した。