朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「それ、は……哲が干すの」
「俺が?」
手を繋いだら、怖かったから。
つい哲に椎茸頼まれたって言っちゃった。
「…俺に頼まれた…って言ったの?」
わずかに目を見張り、哲は私を凝視した。
あれ?
なんで?
なんでそんな反応?
「……………可哀想に」
「…ええぇ?」
ふっと目を逸らした後に、押し殺すように笑い出した哲の思考は、よくわからない。
箱から椎茸だけを選り分けて、シンクの横に積み上げる哲が、着替え済んだら来な、と。
今日はJUDASPRIEST歌うから、蜜もレザー着たら?と。
やけに楽しそうに、私の頭を撫でた。
「あ、椎茸は自分で干すこと」
三年は干し椎茸買わなくて済むな、と唇の端を片方だけ上げて、馬鹿にしたように笑う哲を、どことなく不安な気分で、目で追った。
私は、遼に「可哀想」な事をした…の?