朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「ツェッペリンはやらないの?」
「やらないよ」
「いつやる?」
「………」
真ちゃんの車は置いたまま、電車に乗った。
真ちゃんは派手な容姿をしているから、いつも目立つ。
哲も、髪が赤いから、やっぱり目立つ。
背も一番高いし。
私は、そんな目立つ2人と歩くから、やっぱり目立つ。
3人の身に付けたシルバーの重さがどれだけのモノになるのか、想像したくはない。
カチャカチャと。
チャリチャリと。
歩く度に音が鳴る。
いつも仕事で扱う、鉄や鋳物やステンレスなんかの響く音とは違う、小さな繊細な、音。
「ねぇ、ツェッペリンは?」
「なに、蜜はそんなにツェップ好きだったっけ?」
レッドツェッペリンのボーカル、ロバート·プラントに似た真ちゃんが、そのパーマのかかった長い金髪を、掻きあげた。