朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


「lemon song 好き」

「…またマニアックな」


マニアックなんかじゃないよ。名曲でしょうに。


「前に哲が歌ってくれた曲…なんだっけ?あれも好き」

「…whole lotta love?」

「そうそう、天国への階段?」

「…全然違うし」



呆れたように目を逸らした哲と、蜜の頭は相変わらずスポンジですね~、どこにheavenって単語があるのかな~。

と、真ちゃんが頭を撫でるもんだから。


電車の出入り口付近に立っていた私たちのそんなやり取りに、少し離れた座席に座ったひとが1人、くっ、と笑いを噛み殺したように下を向いたもんだから。



…………。




「哲の馬鹿っ」

「俺かよ!?」


電車の中なのに笑うのを止めない真ちゃんを横目に、地下鉄の黒い窓に映る私の目と哲の目とが、合った。



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