朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「あれ?」
…あれ?
従業員くんと、ウィルキンソンのジンジャーエールを飲みながらステージを見つめていた。
最後の曲が終わったはずであるのに、真ちゃんが、リフを新たに弾き出している。
「もう一曲あったっけ?」
「ない、よねぇ?」
哲も、真ちゃんをチラリと見たけれど。
諦めたように再びマイクを取った。
単純な、リフ。
聴いたことは、ある。
今日はやらないよ、と言われた、red Zeppelin 。
「Whole Lotta Love…だね」
作り込まれた、細かい音の曲ではない気がするけれど、ひとつひとつの音が、いちいち琴線に触れる。
この前仕事中に口ずさんだ哲の歌にドキドキして、部屋に戻ってからCDを聴かせてもらった曲だ。
哲が。
絶妙な間を取りながら。
うたいだす。