朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


そう、だ。

最初に聴いた声も、この感触に似ていた。


繰り返すギターリフに、強すぎるベースの低音。

スネアの連続した破裂音に被さるように哲の声が伸びて、息が止まるほどに登り詰める。



ふっ、…と一瞬の無音のあと。


投げ出された、聞こえない音の曲線が、全ての濃さと重さを増して、私の頭を真っ白に凍らせ、沸騰させる。


二年前も今も、変わらずに。



「…ちょ…やだ、鼻血出そう」

「萌えた?」


従業員くんが、カウンターに肘をついて、私を覗き込んでいる。


萌えに萌えまくりなんですよ、お兄さん!


「どっちに?」

「え?」


どっち…って言うか、この絶妙にエロっちぃ、間に、かな?

え、どっちってどれ?



「哲さんと、真也さん、どっちが好きなのかなーって」


ええぇっ!?
ちょっと待って!

すごい悩む…!!


って言うか、川辺くんと杉崎くんだって好きだしカッコいいけど!?


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