甘いアイツのお気に入り
「え、なんで……」
「わからない。でも、莉子」
美乃ちゃんが、
呆然としているあたしの手を握った。
「行ってあげて」
「え?」
「矢沢のとこ、行ってあげて」
「え、でも……」
カタカタと震える身体。
ついていかない頭。
あたしはどうしたらいい?
今、あたしはいったい翔早くんに
何をしてあげられるの?
こんなふうに思うことさえ
迷惑なんじゃないか。
あたしの頭をそんな気持ちがよぎった。