【完】俺が消えてしまう前に



「樹」


「・・・父さん」


「教えてくれ。何があったんだ」


「・・・俺は」


「なんでも受け止める。俺と妻も。そして、きっと愛希も」



俺は母さんを見た。
母さんは小さく頷く。

愛希も頷いてくれた。


桃子も、
そして・・・七海も。



「俺は、自殺したんだ」



父さんと母さんは
俺の言葉を聞いた途端に
目に涙を浮かべた。

俺が何故自殺してしまったのかも
全て話した。



「すまない。すまない・・・」

父さんは何度も俺に謝ってきた。


母さんも涙を流し続けて
ずっと謝ってくる。


そして・・・。




「樹、誤解しないでくれ。お前がいたから楽しかったんだ」


「そうよ。愛希がいなくなってからも、樹がいてくれれば・・・そう思ってたのよ」


「・・・嘘はいらないよ」


「嘘じゃないわ!樹、信じて」


「確かに愛希が死んで俺達は辛かった。でも、お前がいなくなった事も俺達にとっては辛かったんだ」


「二人の大事な子供たちがいなくなってしまったんだから、いっそのこと忘れたい。そう思ってしまった私を許して。樹の事を心の奥底に閉まってしまったの。私が・・・私が!」


「おい、落ち着け!」


「でも、貴方!!!」


「・・・落ち着くんだ」
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