【完】俺が消えてしまう前に


もしもそれが俺の未練なんだとしたら
ずっとこの世にとどまることになるんだろう。


・・・それはいい事なのか。
分からない。
きっと駄目だ。

駄目なんだけど、
俺が七海に触れられるのは
七海も俺と同じ気持ちで強く願ってくれないとできないと思う。



水族館にいた時、
確かに七海は俺を大切な人だと言ってくれた。

だけどそれが俺の気持ちと同じなのかは分からない。


たとえあの時、俺が七海に自分の想いを伝えていたとしても・・・。
叶う恋ではないから言えなかった。

それにまだ少しだけ七星の事があったから。


もちろん今でも七海に自分の想いを伝えるつもりもない。





「なっちゃん、明日は学校へ行きましょう?」


「・・・え」


「クラスの皆さんにも、もちろん先生にも言っておきましたわ」


「な、何を言ったの?」


「・・・なっちゃんは私の大事な友達。何かしたら許さないと言いましたわ」


「そんな・・・!」


「こうやって思ってるのは、私だけだったかしら?」


「ううん、ううん!!嬉しい。ありがとうももちゃん」


「ふふっ。じゃあ明日は行きましょうね」


「うん・・・!」





今、七海はすごく笑顔だ。

桃子という親友もできたし。



それを俺がぶち壊す事もできない。

俺が自分の気持ちを言っても誰も得はしない。



・・・むしろ迷惑だろう。
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