【完】俺が消えてしまう前に
・愛希の両親
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「多分ここらへんかなぁ?」
七海は俺が手渡した紙を見ながらここまで連れてきてくれた。
俺も記憶を少しでも取り戻そうと辺りを見回しながら歩いてみたけど、特になんの成果もなし。
愛希は家の近くになってきたからなのか
そわそわして、笑顔も多くなってきた。
「それにしても、なんで愛希ちゃんのスカートのポケット?にこんな紙入ってたんだろうね」
「迷子になった時用とか?」
「あー!なるほど!」
「それはいい事だと思うけど、その割には子供を一人であの時間に公園に行かせるのはおかしいだろ」
「・・・会って聞くしかないと思うけど」
「まぁそうだな」
愛希は俺達の話の内容をよく分かってないらしく、
「ままー♪ぱぱー♪」と適当なメロディーをつけて歌っていた。
そこから少し歩くと、住宅街に入っていった。
俺らは表札を一軒ずつ確認しながら先に進んでいく。
「清水、清水・・・」
「あ!樹君!ここそうじゃない?」
七海に言われ表札を見てみると
『清水』と書かれている下に『愛希』という名前が書いてあった。
もちろん他に2つの名前もある。
これがきっと愛希の父親と母親の名前だ。