【完】俺が消えてしまう前に
「私が実行委員って・・・先生何考えてるんだろう。副ならいいって言っちゃったけど・・・。それも自信ないなぁ」
「なんなら俺も一緒にいてやるから」
「本当!?」
「ああ」
七海の事ほおっておくと、
いつ男子が近づいてくるか分からないからな。
なんて言えない。
最近の七海はあまりにも無防備すぎるし。
いっそのこと桃子が実行委員長にでもなればいいんだけどな。
「水島さん」
「・・・あ、委員長」
さっき担任と七海の会話に出てきた委員長らしい。
ああ、そういえば同じクラスにこんなやついたな。
メガネをかけ、
いかにも優等生っぽい。
だけど背は高く、俺よりも少しだけ目線が高い。
俺が176cmくらいだから180cmくらいだろうか。
顔立ちも整っていて、イケメンという部類だろう。
通りすがりの女子もキャーキャー言っていた気がする。
「僕の事覚えていてくれたんだ。でも、名前は覚えていてくれてるかな」
「・・・ごめんなさい」
「そうだよね。改めて自己紹介しよう。僕の名前は前田雄大-マエダユウダイ-。よろしく」
すっと大きくすらっとした手を七海に差し出す。
七海の小さな手はおそるおそるそいつの手を握った。