【完】俺が消えてしまう前に
「実行委員、楽しみにしてるよ」
「えっ!あ、いや・・・その」
「さっき先生とすれ違いざまに少し話し合ったけど、まぁいきなり実行委員長は辛いだろうし僕がやる事になった。でも副委員長としてやってもらうから補佐よろしくね」
「私足手まといになるかもしれないんだけど・・・?」
「安心して。・・・じゃあもうそろそろ塾だから。また」
手をひらひらと振って前田雄大は去っていった。
「・・・前田君か」
そう七海が呟いた声を俺が聞き逃すはずもない。
「なんだよ、惚れたのか」
「な、何言ってんの樹君」
「動揺してる」
「してないし!」
「・・・いいよ別に」
「惚れるわけないでしょ?だって・・・」
「だって?」
「・・・なんでもない」
「気になるだろ」
「気にならないで」
俺の心は熱くなっていた。
焼けるように。
何かを伝えるシグナルのように。