【完】俺が消えてしまう前に
「今日はあたしが腕ふるっちゃうね!」
「ちょっ・・・お母さん待って!」
「なによぅ。文句あんの?」
「・・・その手に持ってるやつボールペン。何する気?」
「何するって夕ご飯作るに決まってるじゃん!」
「決まってない!お母さんはおとなしくしてて!お手伝いさん作ってくれるわ!」
「愛情はあたしの方が上だけど?」
「愛情より明日生き残れる事の方が大事よ!!」
桃子と聖子さんのやり取りを少しだけ見た後、俺と桃子は話をするために桃子の部屋にきた。
「やっと落ち着けたわ・・・」
「桃子が桃子じゃなくなってたな」
「どういう意味よ」
「いや、やっぱり人によって調子狂うよなって思ってさ」
「その通りね。私はお母さんには敵わないわ」
「見てて分かったよ」
少しだけお互い笑いあう。
だけどすぐに真面目な顔に戻り、本題に入った。
「俺の話を聞いてほしい。けど、まずは桃子の話を聞く」
「・・・あら、なんだか紳士ね。レディからの話を聞くなんて」
「別に。それになんとなく分かってる」
「そうなの?」
「ああ」
「じゃあこれも手短に話すけれど、よろしいかしら?」
「どうぞ」