【完】俺が消えてしまう前に
「私、同じクラスの委員長。前田雄大さんが好きなの。男性として」
「おう」
「さすがに分かっていたかしら。私が女子トイレに行っていたと嘘をついた時、貴方実はいたでしょ?あの場に」
「・・・分かってたならなんで言わないんだよ」
「なっちゃんがいたからよ」
「まぁ、な」
「こんな恋愛話。普通は男にはするものじゃないんだけど」
「いいんじゃね?・・・力になってくれたし、俺だって力になれるならなるよ」
「・・・ふぅ。じゃあ言うわ。なっちゃんが委員長に気持ちを持つ事も、委員長がなっちゃんに気持ちを持つ事もあり得ない事ではないわよね?・・・すごく不安なの」
「・・・ああ」
「胸が焼けるように痛いの。苦しいの。何かのシグナルのように激しいの」
「・・・」
「まだたった一日が終わっただけなのに、こんなにもなってしまうなんてね。大事な友達のなっちゃんに対して・・・私はヤキモチを焼いてしまってるのよ」
ヤキモチ。
この感情はヤキモチだったのか。
少しだけ分からなかった。
・・・桃子と同じ感情を持っていた俺も、あの委員長に対してヤキモチを焼いていたんだ。