【完】俺が消えてしまう前に
「・・・だからどうすればいいと言われると困るんだけれど、とにかく二人には離れてほしい。そう思っただけの事」
「でももう実行委員は決まっただろ」
「・・・ええ。そうなのよ」
「お前の権力でお前が実行委員になればいいじゃん」
「そ、そんなことしたら・・・!なっちゃんにも委員長にも幻滅されるわ!!!」
桃子の必死な顔。
ここまでの顔は初めて見た気がする。
本気で力になりたい、そう思った。
だけど俺は無力だ。
何ができるんだろうか。
こうやって話を聞くことしかできない。
「こんな恋愛事でお前らの関係が崩れるのは嫌だ。だからさ、今は辛いかもしれないけど七海を信じてみればいいんじゃないか?」
綺麗事なのは分かってる。
でもこうしか言えない。
この言葉を桃子がどう受け取るか分からないけど、いい方向に受け取ってくれれば嬉しい。
その思いが通じたのか
桃子は静かに頷いた。
「なっちゃんを信じるわ。こんな気持ち、私らしくないもの」
「ああ、似合わないよ桃子には」
「そうよね。・・・樹さんありがとう」
「そんな感謝の言葉を桃子から言われると気持ち悪い。やめろ」
「・・・ふふっ」