【完】俺が消えてしまう前に
桃子は少し深呼吸をした。
その後「よし」と小声でいい、俺の方に向き直る。
「私はもう気持ちの整理ついたわ。次は樹さんの番よ」
「・・・おう」
俺の話はもうただ一つの答えしか見えていない。
七海と結ばれる事が決してないから。
俺の想いが届かないから。
願いが叶わないから。
だから俺は───。
「俺を除霊してほしい」
「・・・何言ってるの」
「言った通りだ」
「・・・お母さんならできるわ。でも、除霊って言うのは悪霊を無理やり成仏させる事でもあるの。貴方は悪霊なんかじゃないわ!そんな霊を苦しめる方法で成仏なんてさせたくない」
「苦しい思いはもう今までたくさんしてきたよ。だから耐えられる」
「ふざけないで!」
「ふざける?ふざけてなんかない。・・・それにさ今の俺がこの世にとどまっている事が辛い。耐えがたい。愛希と一緒に逝けたら良かったのにと思う」