【完】俺が消えてしまう前に
「・・・どうして、どうしてなのよ。貴方は・・・貴方はなっちゃんを好いているんじゃないの!?」
「なんで知ってんだよお前は・・・!」
「分かるわよ。水族館の時からしか気付けなかったけど。・・・きっとなっちゃんも・・・!」
「いいんだ」
「樹さん!」
「俺は幽霊だ。さっき桃子が言った通り幽霊なんかと付き合う奴がどこにいる?幽霊なんかを好きになる奴がどこにいる?」
「・・・っ」
「いないだろ?そうなんだよ。いないんだ」
桃子はさっきの自分の言葉を悔いてなのか、ぽろぽろと涙を流し始めた。
・・・らしくない。
「私は駄目。OKなんて言えないわ。無理よ」
「お前の許しをもらおうと話したわけじゃない。話を聞いてもらいたかっただけだ」
「絶対に・・・させないから」
「いいよ。お前の母さんに、聖子さんに頼むだけだし。お前は関係ない」
「関係あるわよ!貴方は私の友達よ。そして・・・なっちゃんの大切な人!そんな人をみすみす殺すような事できないわ!」
「考えすぎだよ。俺は・・・お前の友達でもなければ七海の大切な人でもない。ただの成仏できない幽霊なんだ」
俺の言葉に桃子は言い返してこなかった。
ただ唇を噛みしめているだけ。
「・・・桃子、明日も学校だし。もう寝ろ」
「・・・」
「おやすみ」
俺は桃子の部屋を後にした。