【完】俺が消えてしまう前に
「・・・」
俺は除霊される間に何を考えた?
・・・七海。
そうだよ。
お前の事だ。
どうしてなんだ。
お前を想えば想うほど、自分の決心は鈍る。
想いたくないのにいつの間にか想っている。
何なんだよ。
どうしてここまで俺はお前を欲するんだ。
消えたい。
消えてしまいたい。
「樹君!!!」
そんな時、俺を呼ぶ声がした。
「樹君っ!!」
「な、七海」
「馬鹿!!樹君の馬鹿!」
七海はそう言いながら俺に突進してきた。
「・・・七海」
受け止められるわけでもないのに、俺は手を広げ七海を受け入れる。
トンっと七海の体が俺にぶつかった。
「嘘、だろ」
七海の温かい体温が俺の体に流れ込む。
俺は・・・。
今七海に触れている。