【完】俺が消えてしまう前に


「・・・」



俺は除霊される間に何を考えた?

・・・七海。



そうだよ。
お前の事だ。


どうしてなんだ。

お前を想えば想うほど、自分の決心は鈍る。


想いたくないのにいつの間にか想っている。


何なんだよ。


どうしてここまで俺はお前を欲するんだ。




消えたい。
消えてしまいたい。







「樹君!!!」



そんな時、俺を呼ぶ声がした。


「樹君っ!!」


「な、七海」


「馬鹿!!樹君の馬鹿!」



七海はそう言いながら俺に突進してきた。



「・・・七海」

受け止められるわけでもないのに、俺は手を広げ七海を受け入れる。



トンっと七海の体が俺にぶつかった。


「嘘、だろ」



七海の温かい体温が俺の体に流れ込む。

俺は・・・。
今七海に触れている。
< 135 / 166 >

この作品をシェア

pagetop