【完】俺が消えてしまう前に
それは愛希の遺影と、お骨らしきもの。
そして小さい女の子が好きそうなおもちゃやお菓子の類。
ついさっきあげたであろう線香も残っていた。
「なんだよ、あれ」
「わ、分かんない」
七海は少し震えている。
「悪趣味すぎるだろ・・・」
「悪趣味って言うか、普通あんな事しないよね?」
「普通の人間だったらしないだろ」
「だ、だったらなんであんな・・・!」
俺らの話を遮るように
愛希の母親がお茶を入れて戻ってきた。
「はい、どうぞ」
俺と七海の前にお茶が出される。
「ありがとう、ございます」
七海がお礼を言う。
俺も小さな声でお礼を言った。
俺はお茶を飲む気になれず、ただぼーっとお茶からたつ湯気を見ていた。
七海は耐えきれなくなったのか一口二口とお茶を飲んだ。
それからしばしの沈黙。
「愛希、いるんでしょう?」
「え?」
「お茶が冷めちゃう。早く呼んでくれない?」
「え、いや・・・」
七海は隣に座っている愛希を見た。
俺も同じく愛希を見る。