【完】俺が消えてしまう前に
幽霊の俺を受け止めてくれた七海。
過去の俺は最低で最悪だったにも関わらず、受け入れてくれた七海。
どこにここまでの女がいる?
いない。
だったら悲しませたりなんかしてはいけない。
必死に俺の気持ちを伝える。
過去の俺が今の俺を見たら馬鹿にするくらいに。
「・・・好きなんだよ。七海」
「・・・」
「愛してるんだ。この世で一番」
「・・・」
「お前だけだ。お前以外見えない」
「・・・だったら」
「七海?」
「だったら、離れないで。私から。離さないでよ私を」
七海は顔をうずめたままそう言った。
消え入りそうな声で。
確かにそう言った。
『絶対にお前を離さない』
そう、言いたい。
言ってやりたい。
いや、むしろ離したくない。
だけど───。