【完】俺が消えてしまう前に
七海は少しだけ素早い動きで俺をかわしていく。
俺達は笑顔だ。
まぶしいくらいに。
「うわ!七海危ない!」
「え!?きゃっ!!」
七海は小さな石ころにつまずき倒れそうになった。
俺は手を伸ばし、七海を捕まえる。
しかし支えきれず俺もろとも倒れ込んだ。
「いたた・・・樹君へーき?」
「俺は全然。って・・・うわ、クレープが」
「あっ本当だ・・・」
ぐちゃぐちゃになって落ちてしまったクレープ。
なんだかそれが俺達の夢の時間が終わりを告げている気がして、お互い沈黙になった。
俺と七海はとりあえず立ち上がり、
拾えるだけのクレープの残骸を公園のごみ箱に捨てた。
その後傍にあったベンチに座る。
「・・・俺さ、ここで愛希と出会ったんだ」
「愛希ちゃん?」
「そうそう。俺がちょうどこのベンチに座ってたらさ。愛希がいきなり出てきて」
「あははっそーなんだ」
「マジでビビったよあの時は」
何故だか思い出話をし始める俺。
・・・らしくない。