【完】俺が消えてしまう前に
愛希と出会ってから愛希が消えるまでの話を七海とした。
本当に、これまで色々な事があった。
今日になるまで。
「・・・なんか、懐かしいね」
「そうだな」
「愛希ちゃん、元気にしてるかなぁ」
「なんだそれ笑。・・・元気なんじゃねぇの?」
「そうだね笑」
俺と七海は空を見上げる。
赤くなりつつある空がそこにはあった。
「・・・七海」
「何?」
「・・・空、綺麗だな」
「そうだね」
「・・・俺さ、今すっげぇ幸せなんだよ」
「うん、私も幸せ」
「・・・だから分かるんだ」
「・・・え?」
俺は上を見上げたままその言葉を口に出す。
「俺、多分もうすぐいなくなる」
少し肌寒い風になってきた。
きっと秋になりつつあるんだろう。
・・・俺でも肌寒いと感じられるから七海にはもっと肌寒いんだろう。