【完】俺が消えてしまう前に
「・・・うん」
七海は小さな声でそう言った。
お互い言わなかっただけで、別れは近づいていた。
幸せを噛みしめたくて、言わないでいた。
それだけ。
「なぁ、七海」
「うん?」
「俺が生まれ変わってからさ、お前ともう一度恋するのって。やっぱもう遅いかな」
「・・・そうだなぁ、私よりすっごく年下になるって事だよね」
「そうなんだよ。参ったなぁ」
「私はどんな樹君でも好きになるよ。女の子でも、赤ちゃんでも。犬とか猫でも!」
俺は七海の方を見る。
今度は逆に七海は空を見上げて話している。
「じゃあ、絶対に俺の事見つけろよ」
「見つける」
「・・・愛希の事もだぞ」
「当たり前でしょ!」
七海はそう言った後ゆっくり俺の方を見た。
「・・・樹君♪」
「七海」
「大好き。ずっと、一生」
「・・・ああ」
「大好き」
「おう」
「大好きだよ」
「何回言うんだよ」