【完】俺が消えてしまう前に
七海は目から大粒の涙を流す。
「違うんだよ、俺が・・・俺が見たいのはさ」
俺は立ち上がり七海の前に立つ。
「・・・うぅ」
「泣き顔じゃない。笑顔が見たい・・・。七海、ほら笑って」
「笑えないよぉ」
俺に残されたタイムリミットはあとどれくらいだろう。
もう半分は消えている。
腰から下はもうない。
痛みはなく、何も感じない。
「七海、笑って」
俺はそう言って優しく微笑んだ。
「・・・樹君」
七海は少しだけうつむいて涙を拭きとった。
そして立ち上がり俺を見つめる。
「えへへ」
七海は俺に今までで一番最高の笑顔を見せてくれた。
最後の最後に、こんな幸せありかよ。
俺は、俺が消えてしまう前に伝えた。
「七海・・・。今まで本当にありがとう、大好きだよ。俺の想いは永遠だ」
そう言い残して
俺は次第に消えていく。
どんどんと七海の顔が見えなくなる。
「樹君!!樹君っ・・・!!」
俺の名前を呼ぶ声もだんだんと遠くなり、最後には聞こえなくなった。
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