【完】俺が消えてしまう前に


私とももちゃんは学校を出ていつもの帰り道を歩いていた。



「あ、雪が降ってきたわ」


「本当だ!傘家だ・・・」


「私も傘忘れたのよね。電話して車呼んだ方がいいわね」


「んー。私はいいや。歩いて帰りたいし」


「そう?・・・よし、分かったわ。じゃあ近くのコンビニで傘買ってくるからなっちゃんはそこのパン屋の屋根の下で待ってて」


「え、私も行くよ」


「濡れたら困るから走るのよ?なっちゃんは心臓に病気持ってるんだから駄目でしょう?」


「・・・はぁい」




ももちゃんは私の返事を聞いた後、走って近くのコンビニまで行ってしまった。



私の『歩きたい』という我儘のせい。

・・・後でちゃんとごめんって言わなきゃ。



ももちゃんの後ろ姿を見送った後、言われた通り屋根の下には入らなかった。


なんだか少しだけ雪に触れたかったから。





「・・・冷たい」


あの日のように空を見上げる。

白い雪がぽつぽつと落ちてきた。



目を閉じて、その雪を受け入れる。
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