【完】俺が消えてしまう前に


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なんだ。


すごく、温かい。




これが成仏するって事なのか。


少しだけ頭の辺りが痛いけど、耐えられる痛みだ。



「───つき!・・・樹!!」



誰かに呼ばれてる気がする。



「樹・・・樹!!」



目を開ける事ができない。



「お願い・・・。神様・・・」



悲しい声の、男の人と女の人。

この人達は誰だろう。



・・・この感じ前にも体験した事がある。

そうだ、最初。
愛希と出会う少し前のあの時。
誰かに呼ばれていた気がしていた。



一体誰なんだ。
俺は閉じていた目をそっと開いた。

目の前には白い天井。
俺の周りには精密機械が置きまくられている。
そして俺は白いベッドに横たわっていた。



「・・・なんだ。天国?にしてはリアルだな」


「樹」


「・・・え?」


「樹!」


「・・・父さんと母さん?」


俺の近くには死んだはずの本当の父さんと母さんが立っていた。

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