【完】俺が消えてしまう前に


それから医者やら看護婦が慌てて俺の病室に入ってくる。


『目を覚ましました!』だとか

『奇跡だ!』だとか


あとは病院の難しい言葉たち。



「木戸樹君だね」


「はい」


俺の担当医らしい人が俺に話しかけてきた。



「よく、生きていた!!もう絶対に自分の命を捨ててはいけないぞ」


「絶対に捨てません」


その人に聞くと、どうやら俺はほぼ一年目を覚まさなかったらしい。


植物状態になる事も覚悟の上で手術をしたんだそうだ。



身寄りの家族も事故などで死んでしまっていると戸籍上で発覚し、お世話になっていた愛希の両親の事は分からず俺は孤児とされていたようだ。






「あとはリハビリだ。一年間動かしていない体だからな・・・頑張ろう!」


「はい、頑張ります。あ・・・そうだ。俺・・・世話になってた人がいて。その人に連絡取ってもらえませんか?」


「そうだったのか!?急いで電話しよう」




そうして俺は愛希の両親と生身の体で再会した。

二人の支援のおかげもあって
たった数カ月で体は元通りに動くようになった。




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