【完】俺が消えてしまう前に
「・・・そうだったんだ。ってことは・・・樹君は生霊?だったの?」
「そこらへんは分かんねぇから桃子に聞くしかないな。・・・後で話すよ」
「うん!・・・あはっ・・・樹君、生きてたんだ」
「生きてた。・・・俺、死んでなかったんだよ」
「私、私ね。本当は樹君が生まれ変わるの待つって思ってたけど、怖かったの。本当に生まれ変わるのかな?生まれ変わったとして私の事覚えてるのかな?って・・・。だけど今樹君は目の前にいる・・・。私の願いが、叶ったの」
「・・・信じて待ってろっつったのに」
「あはは・・・ごめん」
七海は少し苦笑いをした。
でも、その後俺の好きなちゃんとした笑顔を見せてくれた。
「樹君っ!!」
そして俺に思いきり抱きついてくる。
思わず持っていた傘が吹っ飛んでしまった。
「濡れるだろ、七海」
「いいの」
「・・・風邪ひくぞ」
「樹君がいれば風邪ひいたっていい」
「ったく・・・。もう絶対離れないから」
「うん・・・!」
「一生一緒だ」
雪が降る中、
雲の切れ間から太陽が現れた。
少しだけ虹がそこから見える。
幻想的な景色が目の前に広がった。
まるで
『幸せになってね』と
愛希が言っているかのように。
「ありがとな、愛希」
あいつが大丈夫と言ったのは
きっとこの事が分かっていたからなんだろう。
お前の分まで幸せになってやるよ。
「大好き、樹君」
「俺もだよ、七海」
-end-