【完】俺が消えてしまう前に
・信じたくない現実
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俺は幽霊。
愛希も幽霊。
これは事実だ。
現実に起きている事だ。
どうしてこんな事になってしまったのか、分からない。
だけど、きっと何かに導かれているんだろう。
俺達の正体を知った七海は
少し体が震えていたけど、俺達の事をまっすぐと見てくれた。
そしてこう言ってくれたんだ。
『私は大丈夫。一緒に頑張ろう?』
見ず知らずの
出会ったばかりの
しかも幽霊に
彼女は優しさをくれた。
本当はまだ自分の中で信じられない部分もある。
ちゃんと自我だってあるし
なんだかんだで七海と話せてるのに
どうして俺が幽霊なんだよ。
愛希だってこんなにも・・・。
「樹君!」
「わ!?」
「ぼーっとしてどうしたの?」
「い、いやちょっと考え事してた」
「もー、早く手がかり探さないといけないのに!」
「ごめんごめん」
俺と七海と愛希は図書館に来ていた。
ここには何十年も前から新聞紙が綺麗な形で保存してあるからだ。