【完】俺が消えてしまう前に
「・・・どうして俺は幽霊なんだよ。どうして七海と同じ生きてる奴じゃないんだ!!」
どれだけ叫ぼうが、誰も気づかない。
どれだけ泣こうが、誰も気づかない。
俺に気付いてくれたのは、
愛希に気付いてくれたのは、
七海だけだから。
「なっちゃん・・・!」
愛希は今すぐにでも泣きそうだ。
「いっちゃん!なんとかしてよう・・・なっちゃんがぁ・・・!」
俺は目を閉じ、必死に思った。
七海を・・・助けたいと。
七海の身に何が起きているのかは分からない。
でも異常事態なのは確かだ。
願わずにはいられなかった。
誰かが通ってくれるだけでいい。
気付いてくれ。
俺達に、気付いてくれ・・・!
俺が目を開けると、七海の服のポケットに入っていたケータイが目の前に浮かんでいた。
「な、なん・・・だこれ」
「うわぁ!いっちゃんすごい!」
愛希は涙を拭きながら、そう言った。
これは俺の力なのか?
さっきの図書館での会話。
今、俺がポルターガイストを起こしてるようなもん・・・だよな?
「そんな事今考えてる場合じゃない・・・!」
俺はとにかく念じた。
七海のケータイの画面は光はじめ、俺の念じた数字が画面にうつる。
そのまま俺は救急車を呼ぶため電話をかけた。