【完】俺が消えてしまう前に


「お前、びっくりするだろ!?・・・こんな所にどうして一人でいるんだよ。親が心配するぞ」


「・・・」


女の子は喋らない。
俺の言葉を聞いた瞬間下を向いてしまった。


「あー・・・。じゃあ名前は?教えてくれないと呼ぶ事も呼べないし」


「あき」

そう言いながらスカートのポケットから紙を取りだした。

それを受け取り中を確認すると、
住所らしきメモ書きと清水愛希-シミズ アキ-という名前が書いてあった。


「愛希って言うのか?」


「うん」


「そうか、何歳?」


「5さい」


「5歳か、父親と母親は何やってんだよ・・・。普通こんな明け方に子供一人にさせるなんてありえないだろ。まだ少し明るくなったってだけなのに」


ぶつぶつ呟いている俺を見た愛希は首をかしげた。

「ああ、えーっと。愛希のパパとママはどうした?」


「・・・ぱぱと、まま」


「そうだ」


「わかんない。ぱぱとまま、あきが話しかけてもむしするの」


「はぁ?」


「それに、おうちがどこだかわからなくなっちゃった」


「・・・まじかよ」


愛希はこくりと頷く。
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