【完】俺が消えてしまう前に
沈黙を破ったのは七海だった。
「あのね」
「んー?」
「こんな事言われても樹君とか愛希ちゃんは困るかもしれない」
「なんだよ」
「・・・私、小さい頃から心臓の病気を持ってるの」
「しんぞうのびょーき?」
愛希は全く分かってないようだ。
そんな愛希に七海は優しく微笑んで頷いた。
「私が赤ちゃんの頃から持ってる病気」
手を胸に当てながら七海は言う。
「小学校、中学校と病院を入院したり退院したり。ひどい時は何度も手術」
「別に・・・俺らに話さなくてもいいよ」
「ううん、話させて」
真っ直ぐと俺を見る七海の目は迷いがなかった。
得体のしれない奴に自分の事を話すのは怖いはずなのに。
「私ね、友達がいないんだ」
「あきはいっぱいいるよ!りょーくんとね、みきちゃんと、しずちゃんと・・・」
「愛希黙れ」
「えー!」
「いいから!」
俺らのやり取りを見て七海は微笑む。