【完】俺が消えてしまう前に
俺は急いで七海がはこうとしていた上履きの中を見た。
「・・・カッターの刃」
しかも両方に入っている。
誰がこんなひどい事を・・・。
「なっちゃん・・・痛い?」
愛希が涙ぐみながら七海に問いかける。
「大丈夫、いつもの事だから」
七海は何事もなかったかのように鞄から絆創膏を取り出し、足の裏に貼って立ちあがった。
「七海、いつもの事って・・・」
「やり方は毎回違うんだけどね。今日はカッターの刃かぁ・・・。まいっちゃうなぁ」
少しだけ苦笑すると、七海はすぐに歩き始めた。
ピカピカに磨かれた廊下や階段。
これでもかというほどの芸術品や骨董品も飾ってある。
すっと立ち止まった七海。
そこは教室だった。
2-A
ここが七海の教室らしい。
すぅっと大きく息を吸い込んだ七海はゆっくりと教室の扉を開けた。