【完】俺が消えてしまう前に
ざわざわとしていた教室が一気に静まりかえる。
七海はうつむきながら窓側の一番後ろの席まで行った。
俺と愛希もその後をついていく。
「・・・なんだよそれ」
俺は思わず言葉に出してしまった。
七海の机の上には花瓶に飾られているユリの花があったから。
「きゃーっ幽霊!!!」
女子の悲鳴と共に上がる笑い声。
一瞬俺と愛希の事を言われたのかと思ったけど・・・。
どうやら違うようだ。
「うっわー本当だ」
「気持ちわるぅーい」
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
「誰か塩持ってないのー?」
七海はうつむいたままだ。
ぎゅっと制服のスカートを握りしめている。
「おいお前ら止めろ!」
俺の声はもちろんこいつらには届かない。
そんな中、
こっちに歩いてくる一人の女子生徒がいた。
茶色くて長い巻き髪ウェーブ。
長いまつげに高い鼻、ぷるぷるの唇。
胸を強調した制服のカッターシャツに
すぐにでも下着が見えそうなスカートの短さ。
そしてモデルのように背が高い。