【完】俺が消えてしまう前に


「おはよう、水島さん」

喋り方や声も少しだけ色っぽい。
普通の男はイチコロで惚れるだろう。


「・・・」


「ちょっと幽霊さーん?せっかく桃子があいさつしてくれるのに無視はないと思うんだけど」


「最低ねー」


「ありえないわ」


「そんなんだからいじめられんのよ」


「それ言っちゃあおしまいでしょ?笑」



少しの沈黙。


「どうも」


七海はその一言を口にした後、
自分の鞄を机の横にかけた。
そして机の上の花瓶を手に取り、教室を出て行った。



「ねぇー桃子さぁ、なんであんな奴に声かけるの?」


「一緒にいじめた方がすかっとするよ!」


「桃子みたいな綺麗な人があーんなブスに声かけるとなんか・・・うつっちゃいそうで」


「ほんとほんと」




桃子と呼ばれている人はそんな周りの女子生徒には目もくれず、七海の机の上にこぼれた水を自分のハンカチで拭きとっていた。



・・・いい奴もいるじゃん。
こいつがいじめの主犯格なのかと思ったけど違うようだし。
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