【完】俺が消えてしまう前に
教室の扉が開き、七海が戻ってきた。
「あ、おかえりー幽霊さん♪」
「どうやって生き返ったのか知りたいよね」
「その花瓶もポルターガイストで持ってるの!?」
「怖い怖い!!」
七海が教室に帰って来てからも
女子たちのいじりは激しかった。
俺はただ何をすること出来ず見守ることしかできない。
「・・・いっちゃん」
愛希が俺の服を引っ張る。
「どうした?」
「なっちゃんがね、泣いてたの」
「泣いてた?」
「そう、泣いてたの・・・」
だから少し帰りが遅かったのか。
・・・七海。
「でもね、あきなにもできない。なっちゃんのなみだ拭くこともできないし、よしよしってしてあげることもできないの」
「・・・ああ」
「どうしたらなっちゃんを笑顔にできるの?」
「それは・・・」
「いっちゃんなら、分かる?」
「・・・ごめん。俺にも・・・分からないんだ」
「いっちゃん?」
「・・・ごめん」
俺は心の底から謝った。
愛希に対しても、七海に対しても。